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                  一昔程前のことなんですが、「歯を白くする為に、レモンで歯を磨くと良い」という雑誌記事がありました。 
                   そもそも、【歯の色】とは歯の表層物質(エナメル質)の色が担っているのではありません。【歯の色】を左右しているのは、内層物質(象牙質)の色によるのです。その象牙質の色が光透過性のあるエナメル質を透して我々の目に飛び込んでくるのです。 
                  ですから、歯の表面にあるエナメル質をいくら磨いても歯が白くなるわけではありません。 
                   むしろ、毎日レモンで歯を磨くと、長い間には歯の表層を脱灰し歯を弱くしてしまう危険が高いものです。 
                  白い歯並びの中で、1〜2本変色してしまった歯は、どうしても目立ちますよね。 この様な歯の変色の原因は、元々の歯が生える前から変色していたのではなく、生えた後々の事が原因であることが多くあります。 
                   例えば『虫歯』が進行して歯の神経(歯髄)を取らなくてはならない場合、歯の内部で出血を生じます。この血液が内層の象牙質に浸透して歯の変色を生じさせてしまいます。 
                   又、事故などで歯を強くぶつけた時(外傷による打撃)にも、歯の内部の神経(歯髄)が断裂などの破壊を受けて壊死を起こし、結果歯の変色を生じてしまいます。 
                  歯の変色の起こり方をもう少し詳しく言います。 
                   歯の内部で出血した血液は、象牙質の構成物質である、細い象牙細管の中にまで侵入する事になります。この血液の中のヘモグロビンは鉄と結びついており、ヘモグロビンが破壊されると同時に鉄分を放出する事となり、歯は暗褐色に染め出される結果となり、歯は変色してしまいます。 
                  この変色をしてしまった歯の白さを取り戻すにはどうしたらよいのでしょう?。 
                   対処法をいくつかあげてみます。 
                   【漂白法】と言うものがあります。 
                   ‘過酸化水素水’と‘過ホウ酸ナトリウム’という薬剤を用いて、歯の神経をとった象牙質の内部(歯髄腔)側から漂白するもので、多くの場合効果をあげることが出来ます。 
                   場合によっては、劇的にもとの歯の色に蘇ることもあります。が、逆に、全く効果の上がらない事もあります。 
                   次に、【補綴処置の応用】と言うものがあります。 
                   人工物(人工的に造形したもの)を自身の歯に被せたり表側に張り付けたりする方法です。ラミネート法や被覆冠修復などと言われているものです。。 
                    
                  変色歯は、その多くが後天的な原因で生じています。 
                   歯の神経を取るような事態になるまで、虫歯を放置せず、早期治療を行うことが肝心です。 
                  【歯の色】の異常と見られるものには、歯が萌出する前から運命が決まっている場合があります。これについては、次回の担当『歯科なんでもコラム』でお話する事にします。 
                 
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